【評論】ないものねだり【1100字】

現代文
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本文

多くの人間が「ないものねだり」をしたことがあるだろう。

さて、ここでいう「ないもの」とはどんなものなのかを考えてみる。そのためにまず「あるもの」を考えてみる。「あるもの」とは「今自分が(広い意味で)持っているもの」と言えるだろう。単純に物理的に所有・所持している服や車、食べ物だけでなく、技能や経験も含めるとする。

ならば、「ないもの」というのは自然と「今自分が持っていないもの」(物理的に所有していないもの。または、習得していない技能や経験。)とはるはずだ。ここで注意したいのは、何か「ねだる」の対象となるもの(服、お金、技能、、、、)が「今」and「持っている」なら「あるもの」になるので、「ないもの」は「not今」or「not持っている」になるということだ。つまり、対象が「過去か未来」or「(現在)持っていない」ならば、「ないもの」になる。もっと分かりやすく言うと、「ないもの」は「もうないもの」(過去)or「まだないもの」(未来)or「いまないもの」(現在)の3つのどれかになると言うことだ。

少し細かい話だが、カレーを作ったのに米を炊き忘れたなら、米が「いまないもの」だろうが、「まだないもの」と言ってもよさそうに聞こえる。ここでいう「いまないもの」と言うのは「いま行動すれば現実的な確率で獲得できるもの」であり、「まだないもの」と言うのは「いま行動しても獲得できず、どうしようもないもの」とする。(完全に余談だが、このように分かりやすい言葉に言い換えると「意味の漏れ」「誤解の余地」のようなものが生まれる気がした。)

なので、過去について「こうだったらよかったのに」とあれこれ考える、いわゆる「たられば思考」は「ないものねだり」の一種と言えるし、未来について、実行しないのに過度に期待だけを膨らませるのも「ないものねだり」の一種と言える。

では、「ねだる」とはどんなものだろうか。辞書的な意味で言うと「ほしい物ものを要求すること」だが、これは「いまないもの」に対する場合の「ねだり」であり、「もうないもの」「まだないもの」に対する「ねだり」は何かを要求している訳ではないと感じている。

「いまないもの」を「ねだる」ということは、いま要求しているものをどうすれば獲得できるかの具体的な行動計画を考えてそれを要求しているということだ。そして、もし計画が実行に至れば現実的な確率で獲得できる。一方「もうないもの」「まだないもの」を「ねだる」ということは、要求しているように見えるが、具体的な行動計画を考えることはできないので、実際はただ迷っているだけということである。

問題

問1

下線部「それ」とは何か?本文中から抜き出してください。

解答

いま要求しているもの

問2

カレーを作ったのに米を炊き忘れた場合、なぜ米は「まだないもの」でなく、「いまないもの」なのか?30字以内で答えてください。

解答

米はいまから炊飯などをすれば確実に獲得できるから。

おまけ:本文の情報を抽出してみよう

今回は文が短いですが、長文を読むときは同じことを表現している文に印をつけたりすると思います。参考に本文の骨組みだけを抽出してみました。

「あるもの」
=「今自分が(広い意味で)持っているもの」
= 物理的に所有している物体 + 技能や経験

「ないもの」
=「今自分が持っていないもの」
= 物理的に所有していないもの。または、習得していない技能や経験
=「もうないもの」(過去)or「まだないもの」(未来)or「いまないもの」(現在)
=「いま行動しても獲得できず、どうしようもないもの」or「いま行動すれば現実的な確率で獲得できるもの」

「ねだる」
=「いまないもの」に対する「ねだり」(要求)or「もうないもの」「まだないもの」に対する「ねだり」(迷うだけ)
= 「何かをどうすれば獲得できるか考えて、それを要求すること」or「具体的な行動計画を考えることはできず、ただ迷っているだけ」

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